花見

花見の話をピクシブへ。

ひさかた枠の小話です。

春だし、疫病退散にはバカっぽい艶話だよ、とも考えたんですが、そっちは後でピクブラに投げるか、一人で楽しんで終わるかどうか。

 

 

連れ立って出かける花見は、ま、割とそこそこで、弁当とかトイレとかさぁ、と、いう話になって、ちと面倒なんですが、それとは別に毎年必ず行く場所があって、そこには絶対に一人で行きます。

近所の川で、鯉が隊列を組んで産卵のために遡上してくるのと、花の散り際がぴったり合う日があって、それを狙って、水筒とお菓子を持って、鯉の恋のさや当てを覗きに行くわけです。

普段はもっと深い下流に住む鯉達は皆でかくて、ぶりぶりと良く太って、誰か捨てただろって錦鯉や白銀の子もいて、それが、岸から見てもすぐわかるお腹のおっきい雌鯉を取り巻いて、しずしず上がってきては、身体をバチバチ当てて派手に喧嘩しているのを、楽しく眺める。

普段は、ご飯くれ、と、大口開けて寄ってくるか、邪魔くさそうに離れていかれてしまう鯉達が、人間なんて眼中にない勢いで、尾鰭で水しぶきを跳ね飛ばし、キラキラ光る鱗をひらめかせてじたばたしているのが面白くて、趣味の悪い覗きだな、と、反省しつつ眺めます。

もう散り際で、花見客もいなくて、川べりの見物のお供はカラスと猫で、猫もカラスも、川を覗き込むものの、勢いに圧倒されて感じで、ひえって顔して、ただ水面を見てる。

ただ天候が悪いと、川縁に降りる道が封鎖されてしまうので、週明けがいい天気だといいなぁ、と、予報を眺めています。